#NOTE

2020.11.24

Project note:
Nagayama Rest
解説 No.02

 前回はプロジェクトにおける背景や、プロデュース詳細について触れましたが、今回はデザインの部分を解説していきたいと思います。「青い絨毯の秘密」や「Nagayama RestのVI」について。長くなりますがお時間のある方はぜひご覧ください。


「空間デザイン」
 このカフェの魅力を考えた際に、やはり一番のポイントとなるのは、歴史的建造物・指定文化財という建物の個性。Nagayama Restのスペースは新装工事だったのですが、価値のある既存建物と調和する空間になることを目的としデザインしていきました。
 建物の補修工事中から、新たな天井はどんな塗装がいいか、入口からカフェはどう見えるといいのか、現場をみて想像しイメージパースを見ながら細かい検討を重ね空間を決めています。壁・床・天井は基本的に新たに仕上げていますが、中には古い柱を残したままの部分もあります。あまり強い印象ではありませんが、階段下部分の柱は古い柱を残した部分です。カウンターやテーブル、ソファ等の什器は、この空間のためにオリジナルでデザインしたもの。カフェに入りすぐ出迎えてくれるレセプションカウンターは、お会計とオリジナルグッズ物販棚の機能を兼ね備えているオリジナル什器です。建物の”洋”の部分に馴染むよう、ヨーロッパのアンティークカウンターの形をベースに、モダンな要素を組み込んでいきました。棚背面はミラー貼りで床が映り込むことによって空間に奥行が生まれ、狭さや什器のボリュームによる圧迫感を軽減しています。脚部金物はなるべく華奢に、背面のロゴや照明と一緒に見たときに線のバランスが合うよう、慎重に調整していきました。
 客席は、エレガントな曲線を持つフレンチデザインの椅子を選び、それに対して直線的なデザインのテーブルをオリジナルで制作しています。テーブルはシャープな印象になりすぎないよう、真鍮古美塗装やMDFという木天板で柔らかさを与え、クラシックとモダンの調和を図りました。
 そうして出来上がったNagayama Restの空間は文化財の中にありながらも新しく、文化財の中で過ごす時間をより良いものとし、記憶に残る大切な一部となりました。

「青い絨毯の秘密」
 きっとみなさんがNagayama Restに入った際に印象に残る部分の一つに「青い絨毯」があると思います。これは施設とカフェの空間の切り替わりを表現するものでもありますが、実はちゃんとした意味もあります。空間が切り替わる際に床材を変えることは普通のことではありますが、なぜ青にしたのか。文化財について詳しい方はもしかしてと思われるかもしれませんが、寮の絨毯の赤に対して青を選び、北海道旗の色を表現したものとしています。プロジェクトを進めるに当たり、カフェだけが来館者数を増やすための個別プロジェクトと感じられるのではないかという疑問も感じていましたが、こういった全体で一つのコンセプトを表現することで、印象的でありながらも理由のある空間づくりとなりました。単純に絨毯の色としては見慣れないので、少し斬新でありながら青色の効果で品のあるカフェ空間の印象づくりに効果がでているのではないでしょうか。

「グラフィックデザイン」
 グラフィックデザインを作るにあたり、まず重要な業態コンセプトをしっかりと言語化していきました。「和洋折衷喫茶」としていますが、これはもちろん旧永山武四郎邸の和洋折衷からきています。和洋折衷をキーワードに商品開発も行い、デザインも和の要素と洋の要素を感じられるように形探しをしています。シンボルマークは必要なのかと少し悩みましたが、「VI(ビジュアルアイデンティティ)のパーツの一つという位置付けでシンボルを設定する」と考え、公園に咲く花や植物が育ち続けるように文化財のこの施設がずっと人の繋がりを生みながら有効活用されていくことを表現するものとしてデザインしていきました。シンボル自体では一輪の花であり、それをパーツとし、展開していくことで公園の花々や草木のように複数を草花へと膨らんでいくイメージです。色はやはり公園の桜並木の色、公園の木々や建物の色、木造の色、漆喰の色から抽出し、パターン化されることで植物が蔦のように繋がり、人が行き来することで歴史を繋いでいく様を表現しています。こうしてなるべくシンプルでありながらも少し変わった部分を作ることで、オリジナルだけどメッセージ性が強すぎないものとし、買いやすい、持ちやすい、行きやすいを叶えようと思いました。最後に文字ですが、空間と同じく昔と今を調和させるというのも大切にしようとも考え、歴史のある書体をモダンな印象にカスタムしたロゴタイプを合わせています。

 こうして出来上がったロゴやグラフィックパターンで、建物の中にも公園の桜の色や緑を持ち込み、歴史に花を添えて、皆さんの興味を引くことに挑戦したのでした。コンセプトや想いを散りばめ、意味を理解いただけるようメニューブック にもコンセプトを記載していますが、SNS等で「コンセプトにもとても感心したと」と書いていただけることもあり、グラフィックを通して活動の趣旨を理解いただけたことは、非常に嬉しいと感じています。

 オリジナルでデザインしたポイントについてはまだまだあります。今回はこの辺で、次回はステンドグラスやモニュメント、グッズになんかについて、そしてスイーツのデザインなんかにも触れてみたいと思います。それではまた次回。


NagayamaRest | STUDIO WONDER
NagayamaRest | STUDIO WONDER